本 乾くるみ『セカンド・ラブ』
お話は序章の結婚式の場面から始まります。
第1章から第12章までは、なーんの変哲もない恋愛小説。
ふたりの出逢いから、お付き合いの始まり、そっくりな双子の登場。
彼女の出生の秘密・・
しかし、終章で、「まぁ、こんな展開でしょ？」ってレベルはしっかり超えてくれる作品。
乾くるみは健在！！！
ちょっと上からの言い方ですが・・ｗ
だって、「イニシエーション・ラブ」も「リピート」も、「Jの神話」もすごくて、
次に読んだ作品でがっかりしたくないなぁ、、と読めなかったんですが。
しばらく間をあけたら読みたくなって、
で、読みました。
読んで悔いなし！！(´0ﾉ｀*)
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私、どれか1冊を気に入る（そして他の作品は好きになれない）作家より、
３、４冊読んで、その世界観を練り上げられて、はまっちゃう作家が好きです。
そんなの当たり前なようで、1冊どまりになるか、3冊で飽きる作家が多いのです。
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だから、イニシエーション・ラブと比べてどう、
リピートよりはつまらない、
Jの神話よりはおもしろい、
なーんていう評価がしたいのではなく、
「セカンド・ラブ」も、きちんと乾くるみワールドでした！と言います～☆
過去に読んできた乾作品と、世界観がつながっているなぁと思ったところを書きます。
昔、「世にも奇妙な物語」って今よりもいい作品が多かった気がします。
私がよく「ゾッ」っとしていたのは、「人生の選択」パターン。
双子の姉妹が事故に遭い、人気者の姉は助からず、孤独な妹だけが助かった。
意識が戻ったときに、名前を問われ、姉の名前を名乗るか、自分の名前を名乗るか---みたいなやつ。
どっちも不幸になるからもっと怖いんだけど。
そんなわけで『リピート』 と似ているのは、常識的な生き方を続けていこうと思えばはまらないで済んだ深みにずぶずぶはまっちゃう感じ？
人間は、欲や好奇心によって、あとから考えればふさわしくない選択をすることも多いでしょう。
自分はどこで間違った・・？
あのとき、違う選択をすれば不幸にならずに済んだ・・？
その重たーーい感じがこの作品にも。
とよく比較されているんですが、この作品。
”恋愛ミステリー”というジャンルで仲間だから？
もちろん、『イニ～』のラスト2行には敵いません。
敵おうとしても「2番煎じ」と言われておしまいだし。
けど、なんてことのない１つのエピソードが伏線になっていることによって、
私はラスト4行でまたもや衝撃を受けました。
『イニ～』で、「え・・・・・・・・えぇ！！？？」だったら、
今回は、「ええと・・・・・（理解して・・・）ぞぞぞ。(;°皿°)」
※このときの「ぞぞぞ」はまだ2割くらい。
そして、読み切ってからの、
『Jの神話』 を思わせる序章のすごさ！！
すべてを理解したときに、ぞぞぞが10割に到達。
戦慄です。
なんか、オススメというのとも違うんだけど、
いろんな人に読んでみて欲しい作品なのです。
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以下、「解説」という名で、本気でネタバレ祭り。
読んでない人はぜーったい読まないほうが良いです。
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ラスト4行で何がわかるって、
（抜粋）
正明は窓ガラスの外から内に移動した。ガラスを通り抜けた瞬間、春香の表情が変わるのが見えた。
やっぱり「見えて」いるんだ。
ごめんね。ずっと嘘だと思ってた。
ぼんやり、読んでると、「・・・・・・・？ （外から入ってきたの？ストーカー？）」なんですが、
物語中盤で、「春香が大学生のときに付き合った相手が、春香にふられて自殺した」、「春香が幽霊の類いが見えちゃうことを告白した」ていう、なんてことのなかったエピソードが伏線になっちゃって、
正明・・・！！！！
死んじゃったんだ、、、(゜д゜；)と。
でも、そうなると、正明と春香の結婚式を書いてる序章は・・？となるんですが、
こうきての序章のすごさが、ほんとにすごい。。
そもそも序章を読んでいるときに、違和感がいくつかあったのです。
正明が、来客が全員帰ってしまえば清々すると言っていること。
女性客のひそひそ話が、正明は聞き取れること、
純白のドレスがもつ呪術的なパワーは内部の穢れのために必要云々と言われていること、、
それがこうもつながるとは。
死んだ正明がそこにいるとは。
新郎が紀藤和彦だとは。
ただ、春香が、美奈子の名を名乗って夜のお仕事をしていた（二重生活をしていた）ことの理由は全く描写がないし、春香がなんで紀藤先輩を選ぶのかはそれまた春香側からは軽くしか描写がないから、納得いかないといえばいかないけれど。
紀藤先輩も、そんな春香でいいなんて、すごい。
美奈子でもいいと思ったくらいだから、二重生活を送っていた春香でもOK、、ですかね。
どひゃーな展開でした。
