先日行われた「2023 夏の農業用ダム見学会」に参加し、厚真ダムへ初めて行ってきました!(普段は道路が通行止めになっており行くことができません)
せっかくの貴重な機会をブログに残しておこうと思います。撮影・掲載の許可あり。
聞いたことを正確に書きたいのですが、記憶力が頼りになりません。勘違いしていることもあると思います。それらしく書いてあっても鵜呑みにしませんようお願い申し上げます(←)。
△道道235号 上幌内早来停車場線の、(私たちにとっての)開かずのゲートが開かれた!(実は帰ってきたときに撮った写真ですw)
△普段はダム関係者や工事関係者など限られた人しか通行できないこちらに入らせていただきます!!
厚幌ダム横のゲートから北東へ5kmほど進むと!
△やってきました厚真(あづま)ダム!!ひゃっほおおおおおう(興奮)
△出迎えるはダム銘板。
△傷だらけ…これってもしかして…
碑文
厚真ダムは、2018年9月に発生した北海道胆振東部地震(最大震度7)により被災し、ダムの貯水能力が一時失われました。その後2020年10月から約2年半に及ぶダムの復旧工事を行い、2023年3月に無事厚真ダムは復旧しました。
この銘板石は左岸法面が崩れたときに土砂に押し流されて行方不明になったそうです。捜索し見つかったものを再度この場所に設置したそう。こんなに大きな銘板石を飲み込む土砂の威力を感じます。ダムの銘板石ってもともと象徴的な存在だけれども、こちらは特に地震のすさまじさやそこからの復旧を物語る貴重なものですね。
△行きはすっかり忘れてたが帰りに撮った裏面。銘板石は裏に諸元の記載が多いのに!見逃さなくてよかった!!
△右の銘板の施工者は「株式会社地崎組」、左の復旧工事の方の施工者が「岩田地崎建設株式会社」。地崎組がのちに岩田建設に吸収合併されたとのことで最初の建設工事と今回の復旧工事は同じ会社が行いました。
△橋名板「厚真川」!
△「若水橋」
△洪水吐の先のほうが新しいコンクリートになっていますね。
△左岸法面。ここが大規模に崩落して洪水吐に土砂が流入、またその衝撃で側壁が壊れたとのこと。
この見学会で初めて知ったのですが、あの地震のとき厚真ダムはほぼ満水の状態だったそうです。地震のあと、洪水吐に土砂が流れ込んだ厚真ダムが「決壊のおそれあり」と報道されたのは今でも覚えていますが、下流に厚幌ダムもあるしそこまで危なくないっしょと思っていました(ダムにはまって2か月くらいの頃です)。満水の状態で洪水吐が土砂で埋まっているとなるとそれは大変に危ないことですね。しかも堤体下流側にあった取水設備操作室が倒壊して操作盤やら機器類も埋没し、地震の11日後までは操作できない状態であったらしい。満水+洪水吐が土砂で埋まっている+取水設備操作不可の状況……当時「決壊のおそれ」なんて、なんて大げさな報道!と呆れたけど、思っていた以上に大変な状況だったようです。
△おおお「令和5年3月」…!!
△旧いままのものと新しいものが組み合わさっています。
△こちらの管理橋(以前も”若水橋”だったかは不明)は、橋台に亀裂が入ったり欠損が生じたりして架けなおされました。解説途中、橋の下をのぞきこんでパチリ。橋台部が新しくなっているのがわかります。転落防止柵は地震で完全に破壊されたというのだからおそろしい。
△ふと見上げると飛行機。
△左岸法面。
△左岸法面と若水橋(一部)と洪水吐(一部)。この広い範囲を崩す地震…いろいろ思い出されます。
△左岸上流のほうにはおそらく管理棟?とスピーカーが見えます。暑さがすごくて見学会が終わるまでに行かずに終わりました。
△堤体の左岸側(管理橋側)は、管理橋の橋台を作り直す関係で堤体を掘削再盛り立てしたらしい。その部分の下流側に石碑が見えました。
△厚伸の礎…!! 北海道知事町村金五書!
△堤体下流右岸法面、こちらは現在も工事中で車両が行き来したり斜面に人がいたりしました。
△堤体下流右岸側、取水設備操作室や浸透水量観測室があった場所、新しい建屋が見えます。
△さて上流側ぁぁぁぁ! 今年4月から行われた試験湛水を終えて空ですね!
△新しくなった係船設備、インクラインが眩しい!!
取水塔が撤去されて底樋だけに~!!(のちほど見学します…!!
△掘削再盛り立てした部分の堤体上流側はリップラップも新しくきれい。
△再盛り立てしていないところとの境界がくっきりわかりやすい!
△青空と雲と新設インクラインと森や草、たまらん。
△天端を右岸に向かって歩きながらパチリパチリ。
△危ない看板イラストなし! 「あぶないから」看板か。
△あああああ空になった農業用ダムの川の流れを感じる感じ(?)好きだあああ。
△右岸から堤体上流面を~~~。こう見るとけっこう大きい。堤高38.2m、堤頂長222mです。
△右岸上流側の法面もけっこうボロ…
△「落石注意」!! こちらは林野庁の管轄らしいです。
△「あぶないから」看板またあった^^
△上から見る底樋。
△さてそんなこんなで新しくなった係船設備&インクラインに到着! 内部が木のいい匂い!!
△建屋の中を通って外に来ました…!! たまんないぃぃぃ。
△インクラインの横の階段をおります!!!!
△網場~~~。フロートのオレンジがきれいで新しい。地震のときに流木が衝突してフロートが破損したらしい。その衝撃で左岸のアンカーが消失したとも。
△階段を下りながら…以下視点が下がっていきまする。
△ダム湖の!底に!!とうちゃこ!!!!!
△うわああああああい。
△干からびひび割れ地面。
△底樋をこんな近くで(大興奮)。
厚真ダムは取水塔がなくなりこの底樋だけになりました。なんでかというと下流に厚幌ダムができたため表面の温かい水を取水する必要がないからだそうです。(青山ダムと当別ダムの関係と同じですね!)
取水塔よりも底樋のほうがメンテナンスも楽とのこと。底樋って水がたまると水の中になってしまうからなんか不便そうなんだけどもそのほうがいいのですねえ(納得いってない顔。あとこうダムそれぞれの個性として取水塔は大きな存在感を発揮するのでそれがなくなるさみしさはある。橋の架け替えでトラスやアーチがなくなっちゃうみたいなね、(何の話))。
△左岸のほう、ななめ地層!
ちょいと移動しまして、さきほどの写真の反対側で底樋の近くに来ました!!
△家みたいな形のスクリーンの中には穴が2つあり、高さが違います。こちらが高いほうの穴。
△そしてこちらが低いほうで土砂吐きも兼ねているそう。現在は水をためていないので低いこちらの穴に水が落ちていく。スクリーンにたくさんの枝がひっかかっています。
動画でも!
— 彩り (@ayakaaaand) 2023年8月30日
△はあ、素晴らしい体験。
△写真で手前にあるコンクリートの枠は前の取水設備のものだそうです。
少し移動して、
△網場!!!!右岸のほう。
△左岸のほう! このあと流木体験しました!!
△ちなみにこのフロート、めちゃ熱でした。目玉焼き焼けそうだった。
△ネット様~~~
△さて、おりたらのぼらないと帰れません。はあはあ。
△このピンクのリボンのところが満水位ですって。融雪放流見たいよう…と思って尋ねると、今後工事が終わって、仮に道道235号 上幌内早来停車場線が通行可になったとしても、例年4月下旬まで冬季通行止になっているから融雪放流はおそらく見られないらしい。ガーン。
△スピーカーかと思ったらライトだった。
△改めて建屋内部。
以下、また歩きながらパチリパチリ。
天端から下流側をパチリパチリ。
△振り返り天端。
このあとはさらなるご厚意で下流側へ移動してダムを見せていただけることに!!
△洪水吐のすぐ横に来ました!
△下流のほう。写真中央にある橋を渡って(車)きました。
△さて、下流側からダムを…
△日が差してとてもきれい!! 青空と雲とダム!!! 最高!
△目に焼き付けている。
△取水設備からの放流口が見えます。
△改めて堤体右岸下流法面の工事のようす。またいつか厚真ダムに来られたらそのときは工事は終わっていることでしょう。
9月6日、あと数日であの震災からまる5年となります。このタイミングで、復旧した(周辺ではまた工事の続く)厚真ダムの姿を見られたことは大変貴重な経験となりました。関係者の皆様、普段は入れない厚真ダムのご案内と解説をいただき、ありがとうございました。
最後に(´・ω・`)
途中、「青空と雲と〇〇ダム!」って型式込みで書こうとしてそういえば厚真ダムはアースだっけ?ロックフィルだっけ?となりました。ダム便覧(厚真ダム[北海道] - ダム便覧)にはロックフィルダムと載っているけど、他の資料(最後に記載)では中心遮水ゾーン型フィルダムとあって、断面図でも透水ゾーンの材質は「鞘土」となっている。フィルダムなのは間違いないとしてどちらかというとアースダムな気がするのですけどどうなんでしょ。
厚真町土地改良区の「厚真ダムについて」というページでは「中心コアー式土石えん提(アースダム)と称し、ダム付近にある材料(砂岩、泥岩)を主として使用し構築されている」とある。砂岩・泥岩を材料とする土石えん提(アースダム)……むむむ。
同じことは瑞穂ダムにも言えて、ダム便覧(瑞穂ダム[北海道] - ダム便覧)ではロックフィルダムと書かれていて、瑞穂ダムにある諸元表には「中心遮水ゾーン型フィルダム」とあります。むむむ。
瑞穂ダム
— 彩り (@ayakaaaand) 2021年7月19日
(北海道勇払郡安平町)
初訪問\( ˆoˆ )/
広くていろいろ見れて(ドライブ終盤で疲れていて)どうすりゃいいのか困った🤣
インクラインと取水設備が少し角度をずらして寄り添っていてなんか良いと思いました🥰🥰
取水設備は傾斜型シリンダーゲート_φ(・_・ pic.twitter.com/4GoecsHkiv
△ちなみに瑞穂ダムのダムカード、表面には『F(=フィルダム)』、裏面の型式欄は”中心遮水ゾーン型フィルダム”で載っています。
・・・・・宿題にします!
今回覚え書きするにあたって、できるだけ誤った情報を載せないように、検索したら出てきた以下の論文?を参照してメモと記憶を補完しました。
第63回(2019年度) 北海道開発技術研究発表会論文「胆振東部地震における厚真ダムの被災状況と復旧内容」(PDF)