ここに消えない会話がある
山崎ナオコーラさん、どんどん読んでます。
ちょっと脇道から話すけれど、本のデザインが洒落ているな、と思ったら祖父江慎さんによるもの。この名前久しぶりに見た!
むかしむかし、小中学生の時分、さくらももこさんのエッセイにはまっていたので(「あのころ」「ももこだった」「まるこのはなし」とかです)、祖父江さんの名前にはなじみがあったのです。
集英社と祖父江さんって、強いつながりがあるのかな??
ここに消えない会話がある。
やっぱりこの本で一番心に響いたのは、
先に続く仕事や、実りのある恋だけが、人間を成熟へと向かわせるわけではない。ストーリーからこぼれる会話が人生を作るのだ。
ですね。本のテーマを表す一文をセレクトしたら、間違いなくこれです。本のオビにもがっつし載ってますし。
でも、先のない仕事や実りのない恋だけで、人間が成熟するかといえばそうではない。その経験の中での不安や葛藤や、自己嫌悪や失望感といった、できれば目を向けたくないもの、なかったことにしたいものを「やっぱり自分の人生のひとつ」として、すーっと受け入れたときにこそ、成熟がすすむのではないかな。
だって、無かったことにして忘れたふりして、硬いしこりを抱えたまま、人生リセットした気でいたら、それは文字通りリセットであって、人間性が熟すると思えない。
人生は、なんでもない日常の繰り返しであり積み重ねであるからこそ、過去の自分を「可愛いな」と思って日々生きるしかないのだろう。